なかむら歯科 (西宮市／甲子園口駅)
中村 文哉 院長の独自取材記事
JR神戸線の甲子園口駅前の銀杏並木を北へ3分ほど歩いた住宅街の中に「なかむら歯科」がある。院長の中村文哉先生は、むし歯の再発リスクを減少させることや噛み心地にこだわった診療を行う。そのため同院では複数の歯科技工士と連携。むし歯の再発リスクを減らすために詰め物、かぶせ物の形やフィット感などのクオリティを追求。「適切な補綴治療は予防につながる」という考えのもと、早期発見、早期治療を信条とした治療を実践する。中村院長自身、幼い頃から前歯の歯並びで悩み、機能性・審美性を求めて矯正治療を続けた時期があるそうで、患者の気持ちを理解し、患者本位の治療を行っている。何事にも前向きに取り組む人柄が患者らの信頼を集める中村院長に歯科治療にかける思いを聞いた。
「人のために尽くす」を信条に患者本意の治療に努める
開院して4年ほどたちましたが、どんな患者さんが来院されていますか？
通常の虫歯や歯周病の治療に加えてセラミックや入れ歯、インプラントなどでとにかく再治療を希望される方が多いのには正直、驚きました。理由はさまざまですが、自分の歯について、さらに改善を求めてこられる熱心な方が多いのだなという印象です。一度来院された患者さんやそのご家族、知人の方からのご紹介などで来られる方がほとんどです。あとは、前の勤務先の移転に伴い、治療の継続に困った患者さんを受け入れています。当時からのご縁で遠方から来られるケースも多く、西は広島や姫路、東は新大阪、川西や奈良などから県を越えて来られます。遠方から来られる方々のために治療が必要な箇所をまとめて治療し通院回数を減らす集中治療を行っています。
幅広い層の患者さんが受診されていますね。
お子さんの場合は、矯正治療も含めてトータルで診ることができるかかりつけ医を探して来院される方が多いですね。当院にはキッズスペース、ベビーベッドがありますし、個室もご用意しているのでお子さま連れの方も安心してご来院いただけると思います。当院に来られる前は違う歯科医院にかかって治療を受けていたという方も多いです。せっかく縁あって来院してくださったのですから、私は歯科医師として以前受けられた治療よりも質の高いパフォーマンスを提供したいと考えています。その一環として、日頃から歯科技工やインプラント、詰め物、かぶせ物、根管治療などのセミナーに参加し、矯正歯科の先生と根管治療の先生、フリーランスの歯科衛生士との恊働など、それぞれ専門とする先生同士でつながって、密に連携させてもらっています。こうした取り組みを続けていることが患者さんに伝わっているのだとするとありがたいですね。
先生は米国留学の際の経験が、医療人としての大きな気づきとなったそうですね。
ルイジアナ州立大学歯学部に留学中、ハリケーンで被災し、同州南部のニューオーリンズで軍用機に救助されたんです。その時、救助を待つ大勢の人の中で外国人である自分が医療人だからという理由で優先的に助けられたことがわかり、衝撃を受けました。歯科医師として元気に働ける今があるのも、助けてもらったおかげと感謝しています。医療人として恩返しをするため、患者さん、そして医療の仲間やスタッフに対しても「人のために尽くす」ことが診療ポリシーのベースになっています。
質と専門性にこだわった歯科医療をもっと身近に
設備についてこだわりがあればお聞かせください。
まだ国内では希少とされているマイクロスコープを導入して、歯科用CTと併用しながら治療を行っています。マイクロスコープでは、肉眼の24倍もの視野が得られるので、これまで肉眼で見えなかった部分まで高画質で見ることができます。診断の精度が高くなり、より精密な治療が行えます。一方、歯科用CTは骨の立体的な形態や神経の位置が正確に把握でき、血管と神経が通る根管内部の詳細まで精密に確認できるので根管治療や親知らずの抜歯、インプラント治療などには欠かせません。当院では、患者さんに虫歯の症状や進み具合を理解していただくためにマイクロスコープで撮った画像やCT画像をモニターで示し、虫歯を取った後とかぶせ物を詰める前の状態も画面を拡大して確認してもらい、治療前後の変化をきちんと確かめていただきます。
歯科技工士さんとの共同作業も特徴的ですね。
患者さんの口腔内を詳細に確認して型採りを行い、詰め物やかぶせ物をセットするときも微細な調整や色合わせをします。詰め物やかぶせ物の隙間から菌が入り、むし歯の再発が起こらないよう歯科技工士とともに、患者さんのお口にぴったり合う詰め物、かぶせ物を提供することに力を入れています。歯の形は1本ずつ違うので細かく診る必要があり、時間も費用もそれなりにかかりますが、当院では歯科技工士が立ち会えるので、歯科医師と連携しながらスムーズに治療を進めることができます。特別診療室には、立ち会い用の特別カウンターを設け、その場で調整できるよう技工用の機械も取りそろえています。
一つ一つ、丁寧に作製していくのですね。
歯科技工士の個性によって歯型の採り方から作製・加工技術が異なり、最後の歯の形の仕上がりが違ってきます。噛みやすさ、お手入れしやすい形、壊れにくい形態を追求することで、患者さんに精密で丁寧、痛みの少ない治療を提供したいと思っています。患者さんとの相性もあり、加工技術などはコストに影響する部分なので、その辺りを見据えながら、どの歯科技工士に作ってもらうかを決めています。かぶせ物や詰め物を入れる時の適合チェック、詰め物、かぶせ物の型採りを確認する際もマイクロスコープをできる限り活用しています。
予防の充実を図り、早期発見・早期治療につなげたい
そのほか診療のときに大切にされていることはありますか？
患者さんのライフスタイルに配慮した診療を行っています。患者さんのその時の歯の状態、年齢、生活環境、妊娠、退職、介護などのタイミングを考慮し、セラミック、入れ歯、インプラントなどの治療の選択肢からご本人の要望を伺い、相談し、総合的に判断してその方に合った治療法を決めていきます。特定の治療を無理に勧めることはせず、ライフステージに応じて治療をご提案するので、例えばひとまずは保険診療で義歯治療を行い、その後、経済的余裕ができた時にインプラントも考えましょう、とお伝えすることもあります。ただ、症状が進んで治療のタイミングを後回しできないと診断したときは、その旨をきちんと説明し、必要と思われる治療を行います。
予防歯科の部分についても教えてください。
当院では担当衛生士制の導入に加え、噛み合わせの検査や唾液検査なども行っています。メンテナンスではお口の中の小さな変化だけでなく、体調等の変化にも気を配るように心がけています。お口の汚れ具合も「染め出し」でわかりやすくして行いますので、クリーニングの効果をより実感していただけます。また、より良いケアを行うために歯のトリートメントも行っています。予防しながら通院回数を減らせるように、自宅でのケア指導にも積極的に取り組んでおります。転居してからも通院してくれる方々も多く、非常にうれしいですね。
最後に、読者へのメッセージと今後の展望をお願いします。
子育て、仕事との両立、ご両親の介護など、人生の中で最も忙しくされている時期にこそ病気になることが多く検診を受けていただきたいです。当院では、検診時にもマイクロスコープを使用するので、見落としが少なく虫歯や歯周病を早期に発見でき、早めに治療が始められます。初期であれば治療期間も短くて済みます。また、歯が変色していく30～40代で一度ホワイトニングを受けておくのもいいのではないでしょうか。ご自身のケアがおろそかになりやすいときこそ歯科医院を活用していただいて、この期間にメンテナンスをしっかり行うことが将来、健康な歯を1本でも多く残すことにつながります。当院でも、今後は虫歯や歯周病になりにくい歯をめざし、できるだけ治療をしなくて済み、予防の分野をより充実させるため、優秀な歯科技工士の育成にもさらに力を入れていきたいです。
