しゅんしゅんキッズクリニック (江戸川区/西葛西駅)
谷川 俊太郎 院長の独自取材記事
西葛西駅から歩いて5分の場所に位置する「しゅんしゅんキッズクリニック」。谷川俊太郎院長は、自身も子ども時代に喘息やアトピー性皮膚炎でつらい思いをした経験をもつ。優しかった主治医に憧れて小児科の医師になり、大学病院・大規模病院・クリニックで幅広く経験を積んできた。2020年に開業し、子どもの病気に向き合うだけでなく、家庭でのケアの仕方・経過の見方を家族に伝えることにも注力している。ホームページは日本語と英語のバイリンガル仕様で、英語での診察も可能だ。園医・校医も務め「地域にとって頼れる小児科クリニックでありたい」と語る谷川院長に、家族への説明に力を入れる理由、また今後の展望についても話を聞いた。
優しかった主治医に憧れ「小児科の医師」の道へ
先生はなぜ医師を志したのですか?
私は体の弱い子どもだったんです。喘息やアトピー性皮膚炎で何年も小児科に通っていました。患者の立場で医療にふれて育ち、いつしか将来の夢が「小児科のお医者さん」になっていたんです。これは主治医だった先生のおかげもあるかもしれません。というのも「お医者さん」に良い思い出しかないんです。喘息はとても胸が痛くて苦しいのに、優しい先生の診察を受けていると気持ちが楽になったのを覚えています。チクリと痛いはずの点滴も、看護師さんは上手に処置してくれました。医師やスタッフの姿勢によって、患者のつらさも和らぐのだと身をもって体験してきました。私も医師になり、あの時の先生のように患者さんを癒やしたいと思って診療にあたっています。
これまでのご経歴についてお聞かせください。
日本大学を卒業後、大学病院の小児科では血液学を専門とし、主に白血病など血液のがんの患者さんを診てきました。命に関わる症状の患者さんも多く、救命救急の現場にも携わりました。時には子どもにも厳しく接しなければならないシビアな環境でしたが、重症例を見極める力をしっかり身につけた時期です。関連の病院では小児の肺炎や胃腸炎などの一般疾患、また重症心身障害児の診療にもあたりました。その後は開業も視野に入れ、小児科のクリニックで経験を積みました。そちらでは院長として日常で起こる病気全般に対応し、園医としての診療やクリニックの運営にも関わりました。大学病院・大規模病院・クリニックと、さまざまな現場で経験を積んだのち、2020年に当院を開業しました。現在はクリニックでの診療のほか、地域の園医・校医も務めています。
こちらではどのような診療が受けられるのでしょうか?
発熱・腹痛・下痢や嘔吐など、幅広い症状に対応しています。小児科とアレルギー科を標榜しており、気管支喘息やアレルギーによる疾患、アトピー性皮膚炎の治療も行っています。薬はできるだけ長い日数分で処方するようにしています。症状にもよりますが、頻繁な来院の必要はありません。ライフスタイルも家族構成も多様な現代、働いている親御さんも多いですし「数日おきに来てください」というのは難しいケースもありますからね。普段、私はキャラクターのプリントされた診療衣を着ています。おそるおそる診察室に入ってきた患者さんも、診療衣をきっかけに心を開いて「これは誰、これは何」とキャラクターについて教えてくれるんですよ(笑)。
経過の見方・家庭でのケア方法を知ってほしい
ご家族への説明に力を入れていると伺いました。
来院頻度を最小限にするためにも、私は患者さんとご家族に、経過の見方・家庭でのケア方法を伝えたいと思っているんです。ご家族には、患者さんがどういう症状を経ていくかを説明しています。例えば「明日にでも熱が出るかもしれません」とあらかじめ伝えておけば、実際に発熱が起きた時にご家族は落ち着いて対応できますよね。ですが知らなければ、いきなりの高熱に戸惑ってしまうかもしれません。食物アレルギーの患者さんとご家族にも、伝えたいことがたくさんあります。食べても問題のない量、食べる時の注意点や工夫。わかりやすい言葉で、伝わりにくいことは絵を描いたりもして説明しています。情報が多いと、ご家族も内容を忘れてしまうかもしれません。それでも10のうち1つでも思い出してくれればいいな、と思っているんです。
そのお考えは勤務医時代の経験がもとになっているそうですね。
そうなんです。この考えは大学病院での経験がもとになっています。大学病院の救急外来には、子どもの発熱で親御さんがパニックになり運ばれてくるケースも少なくありませんでした。中には症状から当然起こり得る、大事に至ることのない発熱もとても多かったんです。想定される症状を医師が伝えていれば、ご家族も大きな不安を抱えることなく、自宅できちんとケアできたのだと思います。ご家族が必要以上に不安を抱えないよう、また本当に必要な子どもたちに救急医療が行き届くよう、患者さんのご家族には経過の見方をしっかりと伝えるようにしています。
ホームページやクリニックの内装の工夫について教えてください。
西葛西には外国人の方も多くお住まいです。日本語のわからない方にもクリニックの情報を見ていただけるよう、ホームページは日本語と英語のバイリンガル仕様にしました。院内のお知らせも日本語と英語を併記しています。診察も英語で行うことができますので、安心してご来院いただければと思います。クリニックの内装は子どもたちや親御さんに楽しんでもらえるよう、季節に合わせたかわいい飾りつけを意識しています。ロゴマークに登場するカエルは、私の分身として友人がデザインしてくれたもの。とても気に入っています。そして飾ってある絵画は、私の姉の作品なんですよ。受診ついでに見ていってくださいね。
感染症対策についても教えていただけますか?
待合室にはパーティションを、受付前にはアクリル板を設置しています。発熱のある患者さんは、他の患者さんと列を分けてお待ちいただきます。共用部分は定期的に消毒を行い、入り口のドアと空気清浄機で空気の入れ替えをしています。患者さんにはアルコール消毒や除菌シートのご利用をお願いしています。
地域にとって頼れる小児科クリニックでありたい
園医・校医として心がけていることはありますか?
園医・校医として診る子どもたちは、クリニックに来る子どもたちとはまったく違います。健康診断を受けているけれど元気なんです。ですが、本人に自覚症状のない病気が潜んでいることもあります。園医・校医として必要なのは素早い判断力。病気の兆候を見逃さず、必要があれば受診や精密検査につなげなくてはなりません。クリニック以外でも、こうして地域医療に貢献できるのはうれしいことですね。クリニックにいらした患者さんに園医としてもお会いすることもありますし、地域の子どもたちに私の顔を覚えてもらえるように頑張っています。クリニックの外でも、街のどこかで子どもたちに「しゅんしゅんだ!」と声をかけてもらうことが、今の目標の1つでもあるんですよ。
今後の展望についてお聞かせください。
まずは当院のことを知ってもらい、地域の皆さんと信頼関係を築けるよう努めていきます。クリニックの外では園医・校医として、園や学校と協力し合える関係でいたいですね。お子さんが体調を崩した時や、ご家族が子育てでお悩みの時、園や学校で子どもたちがケガをしてしまった際にも「そうだ、しゅんしゅんに相談しよう」と思ってもらえる存在をめざしています。また病診連携にも力を入れ、地域にとって頼れる小児科クリニックでありたいと思っています。
最後に読者へメッセージをお願いします。
患者さんとご家族のライフスタイルや要望に合わせ、治療プランやお薬など、各ご家庭に合わせた診療を心がけています。お子さんの病状について、また予測される症状もしっかりとご説明します。不安や疑問はなんでもお聞かせください。同じ質問を何度してくださっても構いません。子どもたちの味方なのはもちろんのこと、親御さんの子育てにおける心配事を少しでも減らせるクリニックになりたいと思っています。そして何より、地域の皆さんのかかりつけ医になれることを心より楽しみにしております。