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一生堂クリニック (世田谷区/仙川駅)

齋藤 博 院長の独自取材記事

「医療法人社団聖ベネディクト会 一生堂クリニック」は、世田谷区上祖師谷の住宅街の一角に拠点を置く訪問診療専門のクリニック。爽やかな白いアロハシャツ姿で出迎えてくれた齋藤博院長は、血液内科を専門とする医師だ。2006年の開院以来、ゆっくり着実にという意味の「スロー&ステディー」を理念に掲げ、地域の在宅医療を支え続けている。「院名は『いっせいどう』と読みます。医師だった祖父の代まで住んでいた島根県益田市の集落では昔から1軒1軒に屋号があり、齋藤家の屋号だった一生堂を院名にしました」と院名の由来を語る齋藤院長。自身の介護体験を診療に生かし、患者の喜びや笑顔に焦点を当てた診療に取り組む齋藤院長に、クリニックの特徴や医師を志したきっかけなど多岐にわたる話を聞いた。

患者の笑顔と喜びをかてに「ゆっくりと着実な」診療を

すてきなシャツですね。訪問診療の際も白衣は着用されないのですか?

そうですね。患者さんが緊張しないように白衣は着用せず診療にあたっています。特に、靴下はカラフルな色とデザインを選ぶようにしています(笑)。在宅医療を受けている患者さんやご家族は、みんなハッピーではないですよね。やはり健康が一番という中で、自分は体が動かない、一人で病院に行けないと患者さんは思い煩いますし、ご家族も大切な人の介護をしなくてはいけないわけですから。なので、われわれが訪問診療に伺っている30分の間は、苦労を忘れてハッピーになってもらいたい、笑顔を見せてもらいたい。服装もそのためのエンターテーメントだと思うんですよね。本当の笑い、つらさを忘れた笑いが一瞬でも出れば、それが一番うれしいことです。

診療ではどのようなことを大切にされているのですか?

ただ聴診器を当てて、診察をするのではなく、その前後や診療最中のご本人やご家族との会話を大切にしています。親身になって一人の家族として診療する。それがないと駄目だと思っています。現在、当院には私を含めて5人の医師がいますが、彼らには「訪問中は時計を見ないで」と言っています。次の訪問診療に伺う時間があるから、つい時計を見てしまう気持ちはわかるのですが、そうすると患者さんのご家族からは「先生、お忙しそうですね」と言われてしまいます。僕は、そう言われたら負けだと思っているのです。もし訪問先でお茶を出していただいたら、そのお茶はきちんといただくことも心がけています。

こちらの診療方針を教えてください。

当院の診療方針はゆっくり着実にという意味の「スロー&ステディー」です。やはりクリニックも企業ですから、組織には目標が必要だと思います。当院は17年間、この方針を一度も変えていませんね。実は僕はクリスチャンで、2015年には洗礼も受けています。それもあって、僕の方針は「神様の前に出た時、頭を垂れないといけないようなことはしない」ということ。うそをつかない、本音と建前を使い分けない医療を続けていきたいと思っています。

医療、看護、介護が連携して患者を支えるチーム医療

やはり患者さんは高齢の方が中心ですか?

患者さんの平均年齢は80歳を超えていると思います。若い人でも60代ですね。当院は小児には対応していませんが、小児の疾患で国立成育研究医療センターにかかっていたけれど、大人になって小児科から離れ、なかなか病院に行けないという方を診させていただくことはできます。過去には30代のスキルス胃がんの女性や18歳の若い方からの訪問診療のご希望もありました。訪問診療では、僕は自由が利くので一人で患者さんを回りますが、僕以外の医師は相談員と一緒に訪問します。保険証の確認や連絡事項、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザのワクチン接種の確認、日程の管理、薬の処方の日数などを全部一人で行うのは大変ですからね。

訪問診療ならではの特徴や取り組み方を教えてください。

訪問診療には3つのキーワードがあります。一つは24時間体制、もう一つが計画的診療、最後がチーム医療です。チーム医療について言えば、チームの中では、やはり医師が1番、看護師が2番、薬剤師が3番というようなヒエラルキーが出来上がってしまいます。僕はそのヒエラルキーをぶち壊したかったので、開院当初は院長という職種を廃止しようと思っていたくらいです。規制の厳しさなどもあり実現はしませんでしたが、ヒエラルキーを壊すという意味もあって、当院は医業ではなくサービス業だと言っています。医師、看護師、薬剤師、ケアマネジャーさんやヘルパーさんを含め、皆サービス業同士じゃないですか。介護を担当する人、医療を担当する人であり、フラットな関係です。お互いに情報交換ができますし、次の患者さんを紹介していただけるかもしれないですよね(笑)。必要があれば、コミュニケートするということをクリニック全体で大事にしています。

訪問診療の良さはどのようなところにあるのでしょう?

訪問診療では患者さんやご家族と向き合い、時間を取ってゆっくりとお話することができます。ですから、患者さんには夜でもいい、相談でもいい、医療的なこと以外でもいいから必ず電話してくださいと言っています。実は少し前に僕自身が喉を傷めて、東京慈恵会医科大学附属第三病院に1週間ほど入院していました。その時に「病気を診ずして病人を診よ」という同院の理念を目にして、病気を診るだけではいけないことを再認識しました。一般的な診療では患者さんのバックグラウンドやつらさまで拾いませんが、それを拾えるところが訪問診療の良いところだと考えます。そこを忘れずに診療に取り組んでいきたいですね。

日々の訪問診療に生かす家族の介護や看取りの経験

先生が医師を志されたきっかけを教えてください。

僕は医師の家系の4代目です。曾祖父は眼科、祖父は小児科医で、父は脳外科医、僕は血液内科医です。子どもの頃、父は緊急手術のため夜中に呼び出されることも多く、その度に私も1歳下の妹も起きてしまったのを覚えています。そんな父親の生活を見て育ったので、小学生の頃から「医師にだけは絶対にならない」と言い続けていましたね。ですから大学は情報工学部に進学しました。ところが、大学4年生に進級する少し前、突然妹を亡くしたことで家庭が崩壊するという出来事に見舞われました。絶望する父親と母親を目の当たりにして途方に暮れている時、叔父から「博くん、医学部を受けて、父親に生きる望みを与えてやってくれ」と言われました。その言葉をきっかけに医学部を受け直し、医師となったのは30歳の時でした。

訪問診療を始められたのはなぜですか?

医師となって最初に入局した東京女子医科大学では血液内科に籍を置き、がんに対する免疫治療の研究などに従事しました。その後は、青梅市立総合病院や至誠会第二病院で研鑽を積みましたが、大きな病院ではゆっくり時間を取って患者さんと向き合うことが難しいこともあり、外来と在宅医療を行うクリニックに転職したことが訪問診療を始めたきっかけです。開院当初は、お風呂に入ろうと湯船に片足を入れたら電話が鳴る、近くのレストランで食事をしようとしたら呼び出されるという状態でしたが、今は先生方も増えてずいぶん楽になりました。ここ最近、訪問診療を行うクリニックが増えていますが、当院の強みは僕自身が妹の死に直面し、父や母を介護し看取ってきた、その経験にあると思います。自分の時はこうでした、介護にはこういう方法もありますと、自分の実感として伝えることで、変わり得ることもあると思います。

最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

介護をすることは本当に大変です。自分の経験とコネクションで、皆さんの介護の力が抜けるようサポートさせていただきたいですね。ビジネスの側面で言えば、このエリアは訪問診療において日本一の激戦区だと思います。患者さんに良いサービスを提供するためには、きちんと収益を上げて、職員の雇用を守っていくことも大切です。今の職員は医師も相談員もベストな布陣だと自負しています。すべての物事は永久には続きませんが、安定した体制をできる限り維持して、これからも地域で一番のサービスを提供できるようにしていきたいと思います。そして、先ほどもお話ししましたが、患者さんやご家族が一瞬でも良かったと思って笑顔を見せてくれる、喜んでいただけるのであれば、生きてきた価値があると思っています。

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