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記事公開日:2024/06/10

最終更新日:2024/06/10

障害者歯科の歯科衛生士の役割・仕事内容・魅力をご紹介

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ひと口に歯科衛生士といっても、一般歯科や矯正歯科、小児歯科、審美歯科といった診療科ごとに、または大規模病院の外来や地域包括ケア病棟といった勤務先によって、その仕事内容はさまざま。転職先を考える上で、ほかの診療科などでの歯科衛生士の仕事内容を知りたい人も多いでしょう。
この「歯科衛生士の仕事」シリーズでは、そんな人たちのために、診療科や勤務先ごとの歯科衛生士の仕事をピックアップして紹介します。

今回取り上げるのは「障害者歯科」です。障害のある人が安心・安全に受診できる体制を整えている歯科系の医療機関を指しますが、この記事ではそんな障害者歯科での、歯科衛生士の仕事内容、やりがい・魅力、向いているタイプ、職場の探し方などを解説。
障害者歯科に関する専門性の高いスキルや知識を身につけたいと考えている人はもちろん、どんな働き方ができるのか気になった人もぜひチェックしてみてください。

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1 障害者歯科の特徴

障害者歯科とは、主に心身の障害などの理由で、一般的な歯科医院では十分な治療が受けられなかったことのある患者に向けた、診療サービスを提供している歯科のことです。
障害者歯科のみを専門に扱っている医療機関は少なく、障害者の受け入れ体制が整っている病院や歯科医院、自治体と歯科医師会が連携して運営する「口腔保健センター」が中心となっています。

●対象の患者

障害などの理由で一般的な歯科では対応が困難な人が対象です。例えば次のような人が当てはまり、小さな子どもから高齢者まで幅広い年齢の患者を受け持ちます。

  • 重度の知的障害や自閉症などが原因で、歯の状態や症状をスムーズに伝えられない。
  • 身体的な障害により、治療中に姿勢を保つことが難しい。
  • 精神的な障害で感情のコントロールが難しく、激しく抵抗したり騒いだりすることがある。
  • 歯科治療に対して極度の恐怖心がある。
  • 心臓の病気や高血圧、糖尿病などの持病があったり、さまざまな薬を服用していたりする。

●治療内容

一般の歯科医院と同じように虫歯や歯周病などの治療や予防処置を行いますが、患者ごとに障害を踏まえた特別な配慮と対応が求められます。そのため、問診やカウンセリングは一般歯科よりもかなり長めに時間を取り、患者本人だけでなく家族や施設職員、ホームヘルパーなど付き添いの人ともじっくり話をしながら患者への理解を深め、治療の進め方を決めていることが多いようです。また、患者の安全を確保するために麻酔や精神安定剤を使う場合もあります。

2 障害者歯科の歯科衛生士の仕事内容

歯科衛生士が障害者歯科でどのような業務を行うのか、代表的な仕事内容を詳しく紹介します。併せて、求められるスキルについても解説しますので、一つずつ確認していきましょう。

●主な仕事内容

・治療行為の補助・予防処置

歯科医師の治療前の口内清掃、治療に使う補助器具の準備や消毒などを行います。また、歯科衛生士が主体となって患者の歯石やプラークの除去、フッ素塗布、シーランド処置など、虫歯や歯周病といった歯や歯茎の病気の予防処置を施します。
患者の心理状態や障害の内容、程度に応じて、同じ症状でも治療や処置の進め方が異なるので、歯科医師とのコミュニケーションが重要です。
また不随意運動(本人の意思とは無関係に体が勝手に動いてしまうこと)のある患者が安全に治療を受けられるように、クッションなどを利用して姿勢や動作を制御することもあります。

・患者や付き添い人への問診・カウンセリング

問診やカウンセリングは一般歯科よりも長めなケースが多く、症状や治療内容についてはもちろん、患者の障害の種類や疾患、重軽度なども含め患者本人や付き添い人とじっくり話し合います。治療に対する患者の希望や、治療中配慮すべきことを確認した上で歯科医師に共有し、治療方針を決めてもらいます。患者や障害について正確に把握しておかないと治療中の不測の事態を招く可能性が高まるため、丁寧に詳しくヒアリングしていく必要があります。

・治療や処置を受け入れてもらうための対応

治療や処置に対する患者の不安感や抵抗感が強いときなどは、スムーズに受け入れてもらえるように、治療・処置の最初や途中で絵カードや写真などを用いて何をするのか丁寧に説明する場合があります。また、患者の安全のために麻酔や精神安定剤を投与する場合、そのサポート役も務めます。

・口腔ケアに関する指導

先天性疾患などにより歯質が弱い、服用している薬の副作用で歯肉が増殖して歯垢がたまりやすい、口が開いていることが多くて口内が乾燥しているなど、障害が口内に及ぼす影響はさまざまです。そのため、患者に合わせた適切な歯磨きの方法や正しい咀嚼の仕方、食事の姿勢など口腔ケアに関する保健指導を行います。

・訪問診療のスケジュール調整や治療補助

医療機関によっては、身体的・精神的な障害で通院が難しい患者のために、患者の自宅などに訪問して診療を行うことも。訪問する日時を患者側と調整し、歯科医師の治療行為の補助をします。

●求められるスキル

障害者歯科で働くための必須資格は、基本的には歯科衛生士の国家資格のみです。
障害者歯科の臨床経験がどれだけ重視されるかは職場によって異なります。働きながら経験を積んで知識・技術を身につけてもらう方針を取っている職場も多く、そのような職場では経験不問で募集をかけていることも。一方、障害者歯科に関わった経験が選考や待遇面で重視されるケースもあります。求人情報の応募条件で確認しましょう。

業務においては次の3つのスキルが求められることが多いです。

・患者一人ひとりに対するこまやかなコミュニケーション力

障害者歯科を受診する患者の年齢や障害の種類、重さは千差万別。患者一人ひとりの心情や状態に寄り添ったコミュニケーションが求められます。
例えば、障害によって自分の歯の痛みや症状を説明することが苦手な患者には、筆談やメールなどを使って意思疎通を図ったり、説明に時間がかかる患者にはゆっくり時間をかけてコミュニケーションを取ったりするなど、患者の歯の痛み・症状のつらさを把握できるように寄り添います。安心して治療に臨んでもらえるように、患者や付き添い人との関わり合いを通じた信頼関係の構築が大切といえるでしょう。

・安全で安心な治療を実現するためのサポート力

歯科治療をスムーズに進めていくため、歯科医師の指示に的確に対応し、適切なアシストをすることがどの歯科医院でも求められますが、特に障害者歯科では患者の障害や状態を踏まえて、アクシデントにも冷静に対処できるように準備や心構えをしておくことが大切。
そのためにも、問診やカウンセリングを通じて、治療に対する患者の心情を理解した上で、歯科医師との間で治療方針や進め方を確認し合う必要があります。また付き添い人が治療内容や方針を把握できているかをしっかり確認し、日常の口腔ケアのサポートをお願いすることも。単なる診療の補助だけでなく、歯科医師や患者、付き添い人へ適切な情報共有を行い、3者の橋渡し役を担うことも歯科衛生士の重要な役回りとなります。

・障害者歯科治療の知識や技術への探究力

患者の抱える障害が治療や処置の進行に大きく影響するため、歯科衛生士としての知識や技術だけでなく、さまざまな障害に対する知見を持つことが求められます。未経験で入職した場合には仕事を通じて学んでいきますが、その際は受け身の姿勢ではなく、積極的に習得に取り組む姿勢を持ち続けることが大切です。

3 障害者歯科の歯科衛生士のやりがい・魅力

障害者歯科での歯科衛生士のやりがいや魅力について見ていきましょう。

・患者や家族、施設職員、ホームヘルパーとの信頼関係を築きやすい

障害などのやむを得ない事情で、安全な受診にハードルがある人たちの歯の健康を守っている障害者歯科。患者一人ひとりに深く寄り添いサポートすることで、患者や付き添っている家族や施設職員、ホームヘルパーなどさまざまな人と絆が生まれる機会も多いです。
例えば、付き添いの家族が「本人の拒絶が強く、待合室や診察室で暴れたり騒いだりして周囲に迷惑をかけてしまう場合があるので、一般の歯科医院には行きづらい」といった悩みを抱えているケースは少なくありません。
そのような患者家族にとって、障害を理解した上で適切な診療を提供してくれる障害者歯科は心のよりどころになりやすいです。歯科衛生士を頼りしてくれる場面も多いため、やりがいを感じられるでしょう。
ほかにも、最初は治療への強い拒否反応を示していた患者に信頼してもらって歯の健康につなげられたときなどに、喜びや充実感につながるという声もあります。

・院内外でのチーム体制に関われる

院内での歯科医師やほかのスタッフたちとの協働だけでなく、治療内容によっては、他の専門診療科や障害者施設などと連携しながら患者の治療に臨むことができます。さまざまな立場の垣根を越えて患者の歯の健康改善を実現できたときに、達成感ややりがいを感じる人もいるでしょう。

・障害者の医療に大きく貢献できる

口腔機能が健康寿命を左右することが一般的にも知られているように、障害者歯科における歯科口腔の保健活動は、障害を持つ人たちの健康増進に大きく寄与しています。
障害によって不十分な口腔ケアが続いて心身の健康そのものを損ねてしまうケースを減らすために、歯科衛生士が患者の口腔ケアを習慣化できるようサポートすることで、より健やかな毎日を送ってもらうことができるでしょう。
障害のある人たちが安心して暮らせる社会の維持に、自身の仕事が役立っていると実感している歯科衛生士は少なくありません。

4 障害者歯科の仕事に向いているタイプ

どんなタイプの人が障害者歯科の歯科衛生士に向いているのか見ていきましょう。

・気配りやサポートに自信のある人

歯科医師の診療補助や治療に関する業務だけでなく、痛みや状態を説明できない患者や極度の緊張状態にある患者のフォロー、付き添いの人への説明などその仕事内容は多岐にわたります。時には動くことが困難な重度な障害を持つ患者をサポートする場面もあるでしょう。広い視野を持ち気配り上手で、臨機応変に動くことを好む人はやりがいを感じやすいです。

・患者に寄り添い支えていきたい人

障害者歯科では、患者の障害や心理状態を踏まえて治療を行う必要があるため、患者一人ひとりへの理解を深めることが大切。患者の事情や内面にふれる中で、患者に対する共感や思い入れが芽生えやすい環境といえます。患者に寄り添った診療を届け、治療後の喜びを共有したいという思いのある人が向いていそうです。

・チーム医療に貢献したい人

病院内の医系診療科や他の障害者施設などと連携しながら患者の治療にあたる機会も多い障害者歯科。院内、院外問わずさまざまな分野の人と関わり、同じ目線でチーム医療を成し遂げたいという思いのある人には適した環境だといえるでしょう。

5 障害者歯科の看護師の求人を探すには

障害者歯科での歯科衛生士の求人は、求人サイトや転職エージェント、ハローワークなどで扱われているのが一般的です。仕事内容に少しでも興味が湧いた、自分にマッチしていそうと感じた人は、希望する勤務地や条件面などに合わせてリサーチしてみましょう。

当サイト「ドクターズ・ファイル ジョブズ」では、障害者歯科の歯科衛生士の求人を多数掲載しています。
エリアや駅はもちろん、「駅近(徒歩5分以内)・駅ナカ」「ブランクOK」「子育てママ在籍中」「残業なし」などのこだわり条件でも絞り込めるので、自分が重視している条件で求人を探しやすいです。また、「ドクター紹介記事」や「先輩インタビュー」で院長の理念や実際に働いているスタッフの声にふれることもできるので、職場の雰囲気がつかみやすいでしょう。ぜひ活用してみてください。

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◇    ◇    ◇    ◇

ここまで、障害者歯科の歯科衛生士の仕事全般を解説してきました。患者とのコミュニケーションや治療の進め方の配慮や工夫が肝となる障害者歯科では、患者との向き合い方を深く考える機会が多く、仕事の視野が広がりやすいです。

障害を持つ患者や付き添い人の気持ちをくみ取り、一人ひとりへの理解を深めながら心を通わせて、歯の健康を支えていきたい人にとっては大いに活躍できる職場だといえるでしょう。

この記事をきっかけに、障害者歯科の求人もチェックしてみてください。

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こちらの記事の執筆者
矢野 佑子

ライター

福岡県出身。国内飲料メーカー、外資系ワインメーカーで営業職を経験。教育出版企業に転職後、医療や子育て情報誌の制作に携わり、ドクターをはじめ医療従事者を多く取材。出産を機に退職し、復帰後は個人ライターとして「ドクターズ・ファイル」のクリニック・病院のコンテンツ制作に関わる。

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